「インド宗教の坩堝(るつぼ)」。

武藤友治さんというお名前はインド関係者ならば一度は耳にしたことがあると思う。40年あまりの外交官生活のほとんどをインドとの関係に奉じられた方で、残念ながら私は面識はないのだが、私にとっては「伝説の人」である。

その武藤さんがお書きになった「インド宗教の坩堝(るつぼ)」という本を読んだ。一気に読んでしまったのだが、前段の拝火教、ユダヤ教の記述などは、日本語ではほとんど類書がないもので、貴重なものだ。



著者の長いインド経験の賜物。宗教を通じてインド社会を論じたもので、一番分かりやすいインド社会の解説ではないかと思う。97年の核実験当時インドに駐在していた私には核実験後の日印関係冷却の経緯がつづられている最終章が一番響いた。

本書を通じて、著者はヒンドゥ至上主義への自重を促すとともに、日本において、多様な側面を持つインドへの理解が不足していることを伝えている。その想いは、長年日印関係に携わってきた著者ならではである。そして、最終章で、「外交は外交官の個人プレーのモザイク」、「日本人の一人でも多くがインドに対する関心を強め、対印理解を深めるための『個人プレー』に努めていただけるようぜひともお願いしたいというのが、筆者のいまの偽らざる心境である。」と結んでいる。私は外交官ではないが、著者と同じ想いをもち続けているつもりだ。

幸か不幸かインドに携わる人、インドに興味を持つ人に是非お勧めしたい一冊である。
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by jagannaath | 2005-03-24 00:57 | インド・南アジア


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